目的

冠動脈疾患は慢性腎障害(CKD)に苦しむ患者の主たる死因である。一酸化窒素(NO)は内皮機能障害と動脈硬化の進行において重要な役割を果たす。本研究では透析(HD)患者おけるNO産生と内皮障害、心臓形態の関係性の確認と、血清中の非対称性ジメチルアルギニン(ADMA), LOX-1, アペリン-13の関係性を調査した。

方法

対象群は少なくとも6か月間の間に週3回の人工透析治療を受けている120名(女性53名、男性67名)を選択した。また、健常者群は年齢-性別の条件を整えてマッチさせた113名(女性55名、男性58名)を選択した。
血清中のADMA, LOX-1, アペリン-13はELISA法を用いて測定した。また、全ての対象者に対して、心エコー装置、24時間ホルター心電図、頚動脈内皮中膜厚(CIMT)を用いて計測を行った。血清中の3種の物質の濃度とCIMT, 心エコーのパラメーター(左心室体積 LVM, 左心室体積指数 LVMI,)、及び炎症系マーカー(hsCRP, 好中球におけるリンパ球濃度 NLR)の相関性の確認を行った。

結果

血清中のADMA, LOX-1, アペリン-13の濃度は健常者群に比べ対照群で有意に高かった(いずれもP <0.001)。さらに、CIMT, hsCRP, NLRも有意に高かった(P < 0.05, P < 0.001, P < 0.001)。さらに、3種の濃度の間にも相関関係が確認された。これら3つののバイオマーカーとLVM, LVMI, hsCRP, CIMT の間には正の相関関係が確認された。

結論

透析患者の血清中のADMA, LOX-1, アペリン-13の値は、健常者群に比べて高かった。この結果より、これら3つの尿毒症性毒素は透析患者における冠動脈疾患の炎症の進行及び、原因を予見できるバイオマーカーである可能性が示唆された。

 

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https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/1744-9987.12613