sLOX-1量は急性冠症候群で上昇する

Serum Soluble Lectin-Like Oxidized Low-Density Lipoprotein Receptor-1 Levels Are Elevated in Acute Coronary Syndrome:A Novel Marker for Early Diagnosis


Kazutaka Hayashidaほか Circulation Journal Vol.112, August 2005

背景

トロポニンT(TnT)を含む心臓損傷のマーカーは、急性冠症候群(ACS)の診断に使用される。 しかしながら、プラークの不安定性に対するマーカーは、さらに早い段階でACSを診断するのに有用な可能性がある。酸化LDL受容体(LOX-1)は、アテローム硬化性のプラーク破裂とACS発症において、重要な役割を果たしていることが考えられる。

方法

冠動脈造影を受けたことがある患者521名のsLOX-1量を測定した。521名の内訳は、ACS患者:80人、症候性冠動脈心疾患患者:173人、虚血を伴わない冠動脈狭窄を有する患者:122人、冠動脈アテローム性動脈硬化を伴わない患者:52人、治療継続患者および非心臓性急性疾患を有する患者:34人、非心臓性慢性疾患を有する患者:60人である。また、追加で40人のACS患者について、sLOX-1およびTnT量の経時変化を分析した。

結果

①血清中のsLOX-1量は、他のグループよりもACS患者で高く、また、ロジスティック回帰分析によりACSと関連していることが明らかになった。
②カットオフ値を1.0 ng / mLとした場合、sLOX-1はACSを他のグループと判別でき、感度81%、特異度75%であった。
③sLOX-1は、非ACSとST上昇または異常Q波のないACS、および、TnT上昇のないACSを、感度91%および特異度83%で判別することも可能であった。
④ACS発症時のsLOX-1のピーク値は、TnTのピーク値よりも早いタイミングで観察された。

結論

sLOX-1はACSの早期診断に有用なバイオマーカーであることが示唆された。

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https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.104.468397

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