LOX-1は心血管疾患の治療標的として臨床への展開が期待される


宮崎雄輔, 森本達也ほか  JCVA会誌「心血管薬物療法」(2019)

要旨

酸化LDL受容体であるLectin-like oxidized low-density lipoprotein receptor 1(LOX-1)は、血管内皮を中心に生体内で広く発現し、高血圧、肥満、糖尿病、喫煙などの生活習慣病や動脈硬化、心筋梗塞などの心血管疾患でその発現が上昇する。
LOX-1は酸化LDLのみならず、CRP、フィブロネクチン、活性化血小板、白血球などと結合するマルチリガント受容体であり、LOX-1経路の活性化は酸化ストレスを惹起することにより血管内皮を傷害する。
抗LOX-1抗体により、心血管疾患の発症・増悪が抑制されることが動物モデルで示されており、心血管疾患の治療標的として臨床へ展開が期待されている。

また、LOX indexは血中の可溶性LOX-1(sLOX-1)とLOX-1への結合能を持つApoB含有リポタンパクであるLOX-1 ligand containing ApoB(LAB)の積:すなわちsLOX-1 × LABから求められる指標である。
LOX indexは虚血性脳梗塞や冠動脈疾患の予測バイオマーカーとして有用である。
天然物には多くの生理活性物質が含まれており、特にポリフェノール類は抗酸化作用に優れている。
近年、ポリフェノール類の一種であるプロシアニジン類がLOX-1阻害活性を有することが明らかにされており、動脈硬化性心血管疾患への予防効果が期待されている。

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