ドネペジルがox-LDLによるTHP-1単球のヒト大動脈内皮細胞(HAEC)への付着を防ぐ

Donepezil Prevents ox-LDL-Induced Attachment of THP-1 Monocytes to Human Aortic Endothelial Cells (HAECs)


Zhou Sほか Chem. Res. Toxicol. March 15, 2020

背景

ox-LDLはアテローム性動脈硬化における内皮損傷を誘発する重要な病因である。ドネペジルはよく知られているアセチルコリンステラーゼ阻害剤であり、その一次作用はアルツハイマー症の治療薬として使用される。
ごく最近、抗アテローム性動脈硬化剤としてドネペジルの備える潜在的有益な性質に注目が集まっている。現在の研究においてドネペジルがヒト大動脈内皮細胞(HAECs)におけるLOX-1の働きを減衰させることができることを発見した。

方法と結果

我々はドネペジルが内皮細胞に単球を集め結合させるICAM-1の作用を半分以上抑制させることができることを発見した。
我々が発見したもう一つの重要なこととはドネペジルがmRNAとタンパク質の両方を転写レベルで関与することでTNF-αとIL-6の発現を半分以上減少させることである。また、アテローム性動脈硬化病変でかなり上方制御される組織因子(TF)の発現を半分以上減少させた。
最後にドネペジルの効果を媒介する潜在的な役割を持つと思われるEgr-1について着目し試験を行った。Egr-1過剰発現試験により、Egr-1の過剰発現が上記ドネペジルの効果をほぼ完全に無効にすることが判明した。このことからドネペジルの効果はEgr-1のダウンレギュレーションによって媒介される可能性が示唆された。

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https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.chemrestox.9b00509

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